イオン・ホームの家づくり

住まいをもっと快適で、もっと質の高いものにしていくにはどうすればいいのだろう。
その答えのひとつとして、1974年から日本の住まいづくりに取り入れられたのが、北米生まれのツーバイフォー住宅でした。
ツーバイフォー住宅は高性能と合理性を追求した住まい。
それまでとは異なる斬新な工法から生まれる安全性や居住性の高さ、デザインの柔軟性は、当時の住まいづくりに新しい可能性を広げました。
以来、ツーバイフォー住宅は日本の住宅の発展とともに歩み、今ではこの国の基本的な住まいづくりのひとつになっています。
それはちょうど、異文化であったイスのある生活が、私たちの暮らしの欠かせないものになったように。
北米の住まいから日本を代表する住まいへ。
ツーバイフォー住宅。日本の住まいのあたらしい基本です。

ツーバイフォー住宅は北米生まれ。そのルーツは19世紀初めの開拓時代といわれています。過酷な自然から暮らしを守る住まいが求められていた時代です。
ツーバイフォー工法の原型はこうした時代背景のなかで誕生し、以来さまざまな改良を重ねてアメリカ全土に普及、現在では北米(アメリカ、カナダ)の木材住宅の90%以上がツーバイフォー工法による住宅といわれています。
合理的な建築方法と優れた性能を持つこの工法は、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなど北米以外でも高く評価され、今や国際的な住宅として広く普及しています。このツーバイフォー工法の原型ともいうべき工法が日本にはじめて登場したのは明治時代、西洋化の波とともに渡ってきました。その代表的なもの が、あの札幌時計です。
北海道の厳しい自然環境のなかで百年以上の時を経て、今なお時を刻むその姿はツーバイフォー工法の優れた性能が日本でも十分に発揮されることをみごとに実証しています。
 

■ “ツーバイフォー”の由来

ツーバイフォー住宅の名称は、その建築工法に由来しています。ツーバイフォー工法では数種類の規格化された構造用製材(ランバー)が使われ、そのなかでもっとも多く使用される構造用製材の北米での呼び名が「two by four」。
このため、一般にはこの名で呼ばれるようになりました。日本での正式名称は「枠組壁工法」、アメリカでは「プラットフォーム・フレーム工法」と呼ばれています。

ツーバイフォー住宅の基本は面構造

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

北米で生まれ育ったツーバイフォー工法は、日本古来の工法である軸組工法とは構造的にまったく異なる考え方に基づいた建築工法です。
そのもっとも大きな違いは、建物の重さをどのように支えるか、という点にあります。軸組工法では基本構造となる柱や梁によって建物を支えるのに対し、ツーバイフォー工法では構造用製材でつくった枠組みに構造用合板を張り付けたパネルで床・壁・天井を構成して建物を支えています。つまり、軸組工法は「線」によって、ツーバイフォー工法は「面」によって構造を支えることを基本にしているのです。
軸組工法ではまず線(柱や梁)で家のカタチをつくり、その後さまざまな資材を使って壁や天井をつくっていきます。一方、ツーバイフォー工法では床・壁・天井がはじめから面としてつくられ、その面で箱(6面体)をつくるように家をカタチづくります。
このように面構造を基本にしたツーバイフォー住宅は、地震や台風などの外力を面全体で受け止めることで荷重を一点に集中させることなく効率的に分散し、抜群の強さを発揮します。さらに機密性や断熱性、シンプルで合理的な施工などツーバイフォー住宅が備えている優れた特長は、すべてこの面構造が基本となって実現されています。

 

合理的な施工方法から高いクオリティが生まれます。

ツーバイフォー工法の特徴をひと言でいえば、非常にシンプルでシステマティックな建築工法、ということができます。ツーバイフォー工法では6種類の構造用製材を基本として使用しますが、それぞれはJAS規格によって厳しく品質がチェックされた上に、使用する箇所ごとに製材品の規格等を細かく定めています。また、ツーバイフォー工法では構造体の接合部に専用の釘や接合金物を使用します。そのため釘に対しても使用する箇所や間隔、打ち方、使用本数に到るまで細かく明確に規定されています。このように徹底してマニュアル化された施工方法は、施工者の技量に左右されることなく、どのツーバイフォー住宅にも均一なクオリティと性能を実現します。さらにツーバイフォー工法はこうした施工方法に加え、壁式構造を基本に床・壁・屋根の順に効率よく進行する作業工程によって、工期の短縮やコストの削減といった面でもメリットをもたらします。

ツーバイフォーは自由な設計が魅力!

ツーバイフォー工法は設計面においても優れた特性を持っており、自由度の高い住まいづくりができます。たとえば、性能規定にもとづき、柱のない広々とした大空間もつくることができます。また、軸組工法のように屋根を支えるための複雑な小屋組みを必要としないため、小屋裏を収納スペースとして活用したり、屋根の勾配を大きくしたり、採光用にドーマー窓などを設けて居室として利用することも可能です。また、室内にのびのびとした開放感を演出してくれる吹き抜け空間もツーバイフォー工法の得意技。しかもツーバイフォー工法は将来の増改築にも対応しやすく、家族の成長やライフスタイルの変化などにあわせて柔軟な住まいづくりを行うこうとができます。

外観のデザインも自由に、表情豊かに

そこを訪れる人にとっても、住む人にとっても、その住まいの第一印象を決めるのは、やはり外観です。この外観イメージをつくり出す大きな要素のひとつに屋根の形状があります。
ツーバイフォー工法の場合、屋根を支える小屋組みが非常にシンプルなため、一般的な切妻や寄棟はもちろん、屋根を急勾配にしたり、個性的な片流れやマンサードにするなど、じつに様々なカタチの屋根をつくることができます。さらにサイディングや石貼り、吹き付けなど、外壁の仕上げについても住む人の好みによって自由に選 ぶことが可能で、屋根の形状とあわせて、より個性的で表情豊かな外観デザインをつくることができます。また、ツーバイフォー工法は北米大陸で生まれたということから、洋風の住まいをイメージしがちですが、実際には仕上げ材の選択などによってお好みの様々なデザインスタイルをつくることも可能です。従来のような洋風・和風といった枠にとらわれることなく、自由な発想で住む人のイメージにあわせたデザインで住まいづくりが行なえる。こうした設計の柔軟性こそ、ツーバイフォー工法ならではのメリットということができます。

徹底した品質管理による高い信頼性

ツーバイフォー工法では構造材や釘のサイズ・使用方法・使用箇所、さらに施工の手順まで、建設省の技術基準告示や住宅金融公庫共通仕様書によって細かく規定されています。たとえば、ツーバイフォー工法で使用される釘には、サイズや用途別に1本1本カラーリングが施されています。これは一度打ち込んでしまうと確認の難しい釘を、確実にチェックできるように考えられたシステム。このように細部にまで徹底した品質管理は、ツーバイフォー工法の高い信頼性の証でもあります。

設計上のポイント

ツーバイフォー工法は設計の自由度が高い工法ですが、同時に守らなければならないルールもあります。たとえば、建物の重さを支える耐力壁は1階と2階でできるだけ重なるようにする、窓などの開口部は一定のルールに基づいて設定する、などがあります。その多くは耐力壁に関するもので、ツーバイフォー工法が持つ優れた構造特性を損なわないように規定されたものです。

 

なぜツーバイフォーは地震に強い?

世界でも有数の地震国といわれる日本の住宅にとって、優れた耐震性は不可欠な基本性能です。数ある建築工法の中でも、地震に対して抜群の強さを発揮する工法として知られるツーバイフォー工法。その秘密は、外からの力を建物全体で受け止める点にあります。ツーバイフォー工法は床、壁、天井の6面が一体となった構造。地震の揺れを各面で効率よく吸収し、負担が一部分に集中することを防ぎます。また、各面は枠組材と構造用合板等を一体化させたパネル=“ダイヤフラム”になっていて、ツーバイフォー工法のきわめて優れた耐震性の源になっています。建物の床や天井を形成する水平ダイヤフラムは外からの力を分散するとともに、建物のネジレを防止。壁を形成する垂直ダイヤフラムは、建物の変形や倒壊を防ぐ機能を持っています。これは1987年に建設省と日本ツーバイフォー建築協会によって行なわれた3階建て住宅の実物大耐震実験でも明らかにされました。なお、1976年に建設省で行なわれた実物大実験では、一般の木造住宅に規定されている設計荷重の2.3倍もの力に耐えることが証明されています。

ツーバイフォー工法の特性を確かめるために、ツーバイフォー住宅と在来鉄骨軸組工法による住宅にそれぞれの重さに比例した力を加えて、その伝わり方を比較。色が黄・赤に近いほど荷重が大きいことを示しています。

枠組された木材部と構造用合板が「面」となって揺れの力を受け止め、分散・吸収していることがわかります。

加えた力が柱や接合部などに集中。部分的に負担がかかりやすい構造であることがわかります。

 

阪神大震災でも驚異的な強さを実証

1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部を襲った阪神・淡路大震災。震度7という近年まれに見る激震に加え、大都市の直下で発生した地震であったために、想像をはるかに超えた大惨事となってしまいました。この地震による家屋の被害は全壊約10万1000棟、半壊を含めた一部損壊が約28万9000棟以上(平成7年4月24日の自治省消防庁発表より)。しかし、このような壊滅的な状況下でさえツーバイフォー住宅のうち96.8%が特に補修をしなくても継続して居住可能な状態を保ったことがわかっています。死者の約9割にあたる人が建物の倒壊による犠牲者といわれる阪神・淡路大震災、この事実からも住まいの耐震性がいかに大切であるかがわかります。

 

阪神大震災でも驚異的な強さを実証

建物に大きな力が加わるのは、地震の時ばかりではありません。毎年、日本列島に大きな被害をもたらす台風や竜巻についても住まいは十分な備えが必要です。ツーバイフォー工法の構造は、台風などによる強風に対しても地震の場合と同様に優れた強度を発揮。台風以上に強烈で大きな被害をもたらすハリケーンに見舞われる北米大陸で生まれただけに、強風に対する独自のアイデアが採用されています。たとえばそのひとつが“ハリケーンタイ”と呼ばれるあおり止め金物。この金物の1個当たりの許容耐力は実に2,303Nもあります(風速70mの時に金物1個当たりに掛かる力は1,666N)。このハリケーンタイは屋根のたる木と構造壁をがっちりと連結し、強風にあおられても屋根が吹き飛ばされないようにします。その他にもツーバイフォー工法ではそれぞれの部位に応じた最適な補強金物類が使用されており、強風に対しても万全の対策をほどこしています。

 

住まいの大敵“結露”もしっかり防止

室外と室内の温度差の急激な変化によって起こる結露。壁の内部や小屋裏でとくに発生しやすいこの結露は、木材の腐朽の原因となるだけでなく、カビの繁殖など住まいにさまざまな悪影響を与えます。ツーバイフォー住宅の壁内には断熱材が充填されているため室外と室内の温度差がゆるやかに緩和され、結露が発生しにくい構造になっています。また、室内で発生した湿気は換気口によって空気の流れをつくり室外に放出します。このようにツーバイフォー工法では、湿気や結露に対するさまざまな対策によって耐久性を確保、長く暮らせる丈夫な住まいを実現します。国内外で長寿の建築物を数多く残しているツーバイフォー工法。その優れた耐久性は今後ますます実証されていくことになるはずです。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
豊平館(明治13年建築/札幌)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
旧旭川偕行社(明治35年建築/旭川)

万全の対策で湿気から住まいをガード

 

永く暮らしていける丈夫な住まい。木造住宅の場合、耐久性の高い丈夫な住まいを実現するためには、木材をいかに湿気から守るかがカギとなります。防湿処理が施されていない場合、条件によっては木材に腐朽が起こるケースがあります。そこでツーバイフォー工法では、さまざまな方法によって万全の防湿対策を行います。
まず、ほとんどの構造用製材に含水率19%以下の乾燥材を使用。つぎに、建物のなかでもっとも湿気にさらされる可能性がある土台や1階床下部分に万全の防湿処置を施します。土台には薬剤の加圧注入によって防腐・防蟻処理を施した木材を使用。各階床組みおよび、各階床立ち上がり部分の構造用合板や床組みから高さ1m以上の主要な木材に防腐・防蟻剤を塗布するなど、まさに二重三重の対策によって住まいの耐久性を高めてい ます。

 

木は火に強い、という事実

一般的に木は火に弱い素材と考えられています。確かに木材が燃えやすい性質を持っているのは事実です。しかし、ある程度の太さや厚さがある断面の大きな木材は、いったん燃えると表面がこげて炭化層をつくります。このため内部まで火が進行せず、強度が低下しにくい性質を持っています。これに対し、火に強い素材と考えられている鉄は550℃を超えると急速に柔らかくなって変形、その強度が大幅に低下し、住宅の場合では骨組みが崩れ落ちてしまうことにもなりかねません。木は火に強い。700~950℃にまで達するといわれる現実の火災においても、実大火災実験の結果などから、これは明らかな事実として確かめられています。

木材の発火を遅らせる石こうボード

ツーバイフォー工法ではすべての天井や壁の内側全面に、厚さ12.5mm以上の石こうボードが貼られます。この石こうボードの中には約21%の結晶水が含まれていて、炎があたると熱分解を起こして約25分もの間、水蒸気を放出するという優れた特性を発揮します。このため、万一火災が発生しても天井裏や壁の内部の温度が上昇しにくく、構造材が発火点(約450℃)に達するまでの時間を大きく遅らせることができます。また、床・壁の内部に埋め込まれる断熱材も火災時の熱が構造材に伝わりにくくし、石こうボードとともに木材の発火を遅らせることでツーバイフォー住宅の耐火性をいちだんと高める働きをします。

 

火の進行を妨げる、ファイヤーストップ構造

火は空気の流れに沿って燃え拡がっていきます。この性質から住宅の火災では床下や壁内部のすき間、天井裏が火の通り道となるケースが多く見られます。しかし、ツーバイフォー工法では火の通り道となる床や壁を構成する構造材などがファイヤーストップ材となり空気の流れを遮断、火が燃え拡がるのをくい止めます。また、床根太、枠組材などが一定間隔で組まれている床や壁の内部の構造は、防火区画がいくつもつくられているのと同じ状態。このひとつひとつの区画によって火の進行はさらに遅くなります。このように二重三重の防火機能を持つ「ファイヤーストップ構造」によって、ツーバイフォー住宅は初期消火の可能性が高く、火災時の被害を最小限に抑えます。

 

木造ながら公庫では準耐火構造に

ツーバイフォー住宅の優れた耐火性は、数々の実験においても実証されています。例えば、1987年の建設省などが中心となって行なった実物大住宅の火災実験では、耐火措置のされていない木造軸組工法の住宅が約10分で1000℃に達したのに対し、ツーバイフォー住宅では約35分~40分後という結果がでています。また、1991年に地震直後の火災を想定し、実験建物に一定の変形を加えた上で出火させた3階建て住宅の火災実験においても、ツーバイフォー住宅は発火後60分を経過しても火元の1階部分から階上への延焼はなく、1階部分が燃えるまでに73分という抜群の耐火性を発揮しました。このような実験の結果から、ツーバイフォー工法の耐火性は高い評価を獲得。ツーバイフォー工法で建てられるほとんどの住宅が住宅金融公庫における省令準耐火構造に認定され、融資条件もより有利になっています。

 

高気密・高断熱の構造が優れた省エネ性を実現

経済性はもちろん、地球環境の保全という観点からも近年の住まいづくりでますます注目されているのが省エネルギー性。
言い換えれば、機密性や断熱性に優れ、より少ないエネルギーで快適な居住性を実現する冷暖房効率の高い住まいが求められています。
木材の熱伝導率は鉄の約350分の1で、非常に断熱性に優れた建築資材。ツーバイフォー住宅はこの木材をふんだんに使用しているだけでなく、とくに外気の温度の影響を受けやすい外壁は、ツーバイフォー独自の構造と壁内に充填された断熱材との相乗効果によって高い断熱性を発揮します。その上、従来の木造住宅のように床下から冷気が入り込むことも少なく、鉄骨住宅のように鉄骨を通じて外気の冷たさが室内に伝わるヒートブリッジ現象を防ぐことができます。このようにツーバイフォー工法は、その構造自体に優れた断熱性・機密性を持っているため、“省エネルギー住宅”を実現する代表的な工法でもあるのです。また、最上階の天井や外壁、一階床内部に断熱材を効果的に使用。
建物全体を断熱材ですっぽり覆うことで断熱効果をいっそう高めています。

 

 “遮音”と“吸音”2つの防音で快適生活を実現

 

クルマや道路工事の騒音、近隣の家からの生活音など、日常の中にあふれているさまざまな音。快適な住まいを実現するためには、この音への配慮も重要なポイントです。機密性の高いツーバイフォー住宅の構造は同時に、音の出入りを抑える優れた遮音性も備えています。さらに壁や天井に使用される石こうボードも遮音性の高い素材で、音が壁を通り抜けることを防止。また、壁の内部に充填される断熱材は吸音材としても効果的に機能し、音を吸収します。つまり、ツーバイフォー住宅はクルマなどの外部の騒音を防ぎ、室内の音は外部に漏れにくい住まい。住む人のプライバシーをしっかり守りながら、静かで快適な暮らしを実現します。